「デザイン」ってなんだろう?グラフィックデザインの重要性

先日、このようなツイートを発見しました。

はい。
「政府の資料を直してみました」というもの。

これを見た私は、

クリエイター魂が騒ぎますねえ…!!!!!

と勝手に燃え上がり、自分でデザインしてみました。
それがこちら。

はい。
ツイッターの引用リンクを貼るのが初めてなので、試しに自分のも貼ってみました!
けれども記事にも一応そのまま載せますね。

元ネタは上記の引用をご参照ください。
そしてこちらは、以下の点に注意してデザインしました。

・内容そのまま
・見出しをデザイン
・読みやすい所で改行
・文字の最小サイズ10pt
・手打ちなので誤字は申し訳

ツイッターは規約で引用自由と書いてあるそうなので、
普通にブログカードに引用元リンク貼ってこのようなリンクにしています。
ワードプレスって便利だなあ…
こんなに簡単に見せやすいデザインにしてくれるなんて。
昔はこういうデザインはhtmlで自分で…ブツブツ…

はい。

初めて「デザイン」「グラフィックデザイン」というものを、
しっかり一例を作って表に出したような気がします。
もっと大々的に変えることもできるのですが、
読み手の年齢層や公式資料であるということなどを考慮して、
今回はほぼそのままで見た目を整える程度にしました。
以前一度だけ、これもどうしてもどうしても直したくなって直したのがあるんですけどね。

…あった!笑
これこれ。

これも、ほぼデザインはそのままで、
ほんとに細かい見せ方だけ直しているって感じです。

はい。

そもそも、「デザイン」ってなんだろう?

そんな風に、デザインの仕事をしているとよく考えます。

見た目を綺麗に整えること?
人目をひくようなインパクトのある見栄えにすること?
そのためには、多少わかりにくくても派手にした方がいいのか?
自分が思う「綺麗」「美しい」は、クライアントにとってもそうなのか?
お客様に伝わらないと意味がないのでは?
わかりやすく伝わるように試行錯誤することも必要なのでは?
むしろ「伝える」ことの方が最優先にくるのでは?
伝わらないデザインには意味はないのでは?

こんな感じ。
ちなみに「伝える」っていうのは漫画も同じっていう記事を前に書いたので、
ぜひそちらも読んでほしい。

例えば、チラシやパンフレットを作るときに、文字で原稿をもらいます。
それを、
見やすいように綺麗に整え、
伝わりやすいように強弱や色で変化をつけるわけです。

ざっくり原稿とデザインを比較したのがこちら。
こんな感じで、タイトルの位置や大きさの指示などもあるレイアウトがあれば丁寧な方です。

漫画のプロットもそうですが、文字の羅列だけの場合もあります。
そういう時は、こちらでどこを大きくしようとかは判断するんですね。
となると、一発で希望通りのものが作れるわけはないじゃないですか。
ですので、最初に提出する「初稿」の段階では、
大体2〜3案ぐらいをご提案することがほとんどですね。
色合いを変えたり、写真をメインに大きくしてみたり、フォントを変えてみたり。

ご覧いただいてわかると思うんですけど、
フォントや色などの指示があることは滅多にないので、
そういうところも全てデザインの仕事になります。
無数にあるのに決められないじゃん…!!と思われると思うんですけど、
これがデザインの面白いところで、たとえば
子供がいるファミリー向けの広告だったら
「ポップな書体+パステルorビビッドカラー+イラスト使用」、
シニア向けの広告だったら
「視認性の高い書体+落ち着いた色合い+文字は小さくしすぎない」、
というふうにしようかなとかね。

子供向けの方に渋い海老茶色とか使わないし、明朝体も合わないし、
シニア向けにマゼンタピンクは目が痛いし、※注釈入れる時も6ptは必要かもとか。
そういう風に、使うフォントや色やレイアウトを決めていけるんです。
で、大体クライアントから「お客様はファミリー層なので」「楽しげに」などの、
お客様のイメージの指示もあるんです。
そこに向けてデザインをしていくんですね。

さて振り返って今回の場合。
「政府」の「資料」としての書類を作成する状況だとしてですよ。

たしかに元のやつはこのままだと読みにくい。
しかし、内容を削るわけにはいかないんです。
いくら読みにくくても詰め込み過ぎでも、
この文章を全て1枚の紙面に入れ込む必要があるんです。
それは、この1つの書類が「政府の資料」であるということは、
おそらく膨大な量の資料のうちの1つでしかないためです。
デザインのためだけに紙面を増やすわけにはいかないだろうし、
お偉いさんは年齢が上なので文字が小さくなると読みにくいし、
なんか突かれた時に「ここに書いてありますよ」という証拠のために、
全部全部詰め込んだ表記にせざるを得ないのだと思います。

しかもその膨大な量の資料を全部、
デザインしながら読みやすくまとめろっていうのは酷な話だとは思うんですよね…
読みにくいと後で見返したときに大変ではあると思うんですけど、
時間もない中で他のいろんな資料を参考にした上でこの資料を作成する労力を考えると、
正直心中お察しします…って感じでもはや何も言えねえ。

とはいえ、読みにくいことは事実。
読みにくいってことは伝わりにくい。
これはよろしくない。

そのために、「デザイン」という仕事があるんだと思います。

デザインって仲介者みたいな橋渡しみたいな仕事なんだなあと思います。
ただただ「美しさ」「見た目の良さ」だけを追求するのは、
「デザイン」じゃなくて「芸術」だと思います。
どっかのコンビニのコーヒーメーカーで、話題になったじゃないですか。

おしゃれだけどわかりにくい

って。
あんまり間違うし使いにくいからテプラベタベタでわかりやすくしたって。
それってデザインとして致命的なんじゃねえかと思うんですよ。
「機能的」かつ「美しい」がデザインの本質であるべきだと思うんですよ。
だってたくさん使ってもらうためにデザインするのに、
使いにくかったらデザインしない方がいいじゃないですか。
どっちも大事なんですけど、どっちが優先かっつったらこうなると思うんですよ。

機能的>美しい
わかりやすい>美しい

使い物にならなきゃ意味がない。
伝わらなきゃ意味がない。
その上で美しさを追求する。
だから、難しいんですよね!
そして、楽しいんです!

そして、本当に機能的なものってそれこそがそのまま美しいものだと思うし、
本当にわかりやすいものってそれこそがそのまま美しいんじゃないかと思うんです。

シンプルイズベストってありますけど、
シンプルなデザイン大好きなんですけど、
田中一光とか好きなんですけど、
究極のデザインはそこだなって勝手に思っています。

シンプルが一番難しい。
削ぎ落とすのが一番難しい。

いくらでも装飾して華美に見せるのは、付け足していくのは際限なく増やせるんだけど、
核の部分を残して際立たせて邪魔をせずに目立つように押し付けがましくないように
などなど考えると、もうすんげーーーーーーーーーーーー難しい。笑

まあ媒体にも顧客層にも寄るから制約も変わってくるし、
それによってデザインを変えてそれぞれの伝わりやすさ美しさを考えるのが仕事なので、
全部統一でどうこうできるものじゃないんですけどね。

とはいえ、たとえ
ばこういうふうに読
みにくい所で改行されてるな
って言う所とかを

とはいえ、たとえばこういうふうに
読みにくい所で改行されてるなって
言う所とかを

って感じに読みやすく改行するとか、
そういうのは統一でデザインできますよね。
これもデザインのひとつなんです。
元の資料とわたしの作った資料の細かい文章を見てもらうと、
改行に気を配っているのがわかるかと思います。
ちっちゃい「っ」とか「ん」とかが文頭に来ないようにするとかね。
そういう言われないと気づかないような細かいところを「整える」のが、
デザインでまず大事なところだと教わりました。
あと余白の取り方とかね。
わたしもついつい詰め込んで大きくしちゃって見にくくしがちなので、
一番外側は多めに余白取って、
カテゴリー毎の余白もちょっと多めに取って、
って範囲を箱のように考えてまとめてみたりね。

もう完全に職業病なんだけど、笑
だもんで今回の資料もうおおおおおおおおおお俺に直させろおおおおおおおおおおおおおおおお
って勢いで直しちゃったし、
おそらく予算がない中で作ったであろう地域のポスターとかチラシとか見ると、
もう毎回うおおおおおおおおおおうおおおおおおおおおお俺に直させろおおおおおおおおおおおおおおおお
って思います!!笑
とにかく美しく整えたい。
見やすく整理したい。
もっと、こう、あんじゃん!ねえ!
って日々悶々としています。

逆に、すごいかっこいいデザインとかもわかるようになるんですよね。
普通に歩いてたって見向きもしない広告とかだってあるわけじゃないですか。
でも今の世の中、街中は全部デザインされてるものばかりなので、
すごい面白いんですよね。色々見るの。

もちろんデザイナーによっても好みがもう全然違うので、
今までここに書いてきたことはほぼ私の主観になります。
おいふざけんなよ!って思われると思うんですけど、これがほんとに申し訳ない。
だからこそこんなにいろんなデザインがあるんですよね。
だってお客様の好みも全員違うわけですよ。
だからお互いの好みが合うデザインを探すし、
その人に依頼するってかたちになっていくんですよね。

なので、たとえば「この参考資料のような雰囲気のデザインでお願いします」
っていうご依頼もたくさんあるんです。
最初はね、やっぱり「うおおこんなの自分のデザインじゃない」っていうね、
イラストのところでも話したんですけど、
他者のデザインとかイラストとかを参考に作るってなるとね、
自分がやる意味あります!?って思ったりしてたんですけどね。

んでも他者のデザインをそのまま参考にして自分で作ってみることで、
すごく学びがあるんですよね。
自分では選ばない配色とか、線の引き方とか。
そして真似て作ったものでも、自分が作った時点で、自分の感覚になってるので、
やっぱりそれってどうしても自分が作ったってわかるぐらい何かが滲み出てるんですよ。
不思議なもので。

それで、この地味すぎる修正を見てお気づきいただければ嬉しいんですけど、

デザインって、すごい地味な仕事なんですよ。

なんかグラフィックデザイナーという横文字がかっこいいせいか、
世の中でニュースになるデザイナーが派手すぎるのか、
私が勝手に地味なのかわからないんですけど、
デザインってそれこそロゴ作ったりイベントのグッズ作ったりポスター作ったり、
派手で目立つわかりやすいビジュアルの仕事ももちろんあります。

けれどもそのような仕事の中にも、それ以外にも、
こういう細かいところを揃えるとか、
読みやすく配置するとかフチつけるとか四角で囲むとか、
偏ってて気持ち悪いところがないかとか、
そういう細かいところに気を配るのも、かなり大事な仕事なんです。

なので、市販のパッケージの成分表が読みやすいのも、
カレンダーの土日祝日表記がわかりやすいのも、
そういうところもフォントの種類や太さや色や文字詰めなどを、
デザイナーがきちんと考えて作っているからなんです!
もちろん校正してもらって直しあってこそなんですけど!
でもそんなこと考えながら物を見ちゃうのって、やっぱり同業者だからなんでしょうね。笑

まあこんな偉そうに語ってきましたけど、
私も未だに直しされまくってるしミスもするし過去どんだけやらかしてきたのかって話なんですけどね。
ハハハ。

そもそも私はできることといえばちょっと絵が描けるぐらいで、
それだって最初はプロレベルでなんてもちろんなかったレベルのものを、
ありがたいことにどうにかこうにか上司がイラスト仕事を回してくれていたし、
もうデザインなんて1ミリもできない人間だったんですよ。
どんなに才能がある学生でもプロから見たらどんぐりの背比べである上に、
マジでセンス0でデザイナーになるつもりもなれるとも思っていなかったし。
あったのは気合いだけ。笑
それが一通りデザインできるまでに育ててもらったのだからありがたいですよね。
色々あったのによく続いたなと思っている。
仕事辞める辞めないの話もまた別に記事にします。

同じ地域にお住いの方は、
きっと知らないうちにいろんなところで我々のデザインを目にしていると思います。
フフ。
大きい仕事から小さい仕事まで、名前は出なくとも至る所に我々の手が及んでいるのだ。
フフフフ。
そんなふうに、「あっこれ綺麗だな」とか「見やすくていいな」とか、
どこかのチラシやパンフレットやイラストやロゴなどを目にした時に、
少しでも楽しみが増えてくれると嬉しいです。
「こいつぁもしかしてあいつがやったのか…!?」って思うと、見ちゃうでしょう。
フフフフフフ。
ほんとは全部紹介できるといいんですけどね。

最後に、今回の資料を自分の好き勝手にやったパターンも載せて終わりにします。
そこまで劇的に変なものにはしてないけど。
元々のものがあれで、

これが、

こう。

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最高っすわ!!!!!!!!
めっちゃ気持ちいい!!!!!!!!!!
すんごい好き!!!!!!!!!!!!!!!
フォントも色も整え方も全部ワイ好みに美しい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

こんな感じで2案出したりするんですね。
クライアントの意図通りのものをA案、
自分がもっとこうしたらいいんじゃないか?と好きにデザインしたものをB案。
って感じで。
でもどっちがわかりやすいか・通るかは人によって違うし、
どっちも通らずC案を作り直すってことも多々ありますね。
結局最後は好みも入ってくるのよ、人間だもの。

内容はどちらも同じなんですよ。
タイトルや見出しの重要性も同じなんです。
それで一人の人が2種類作っても、これだけ違うんです。
なので、全く同じお題でも、表現の仕方や伝え方が人によって違うので、
結局違う作品になるんですよね。
漫画とかでもネタ被りとか色々あるけれども。
漫☆画太郎の星の王子様、ほんと見てほしい。

デザインは難しいけど面白い。

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